NCNP病院

コラムとニュース columns and news

コラムとニュース columns and news

認知症センター便り

<オレンジカフェ> 振り返り No.57

2025年10月22日実施

こんにちは。オレンジカフェスタッフです。2025年度、第7回目のオレンジカフェを会場とオンライン(zoom)で開催しました。
先月に引き続き、話し合われた内容について、参加できなかった皆さまにもご紹介していこうと思います。

認知症による不安と家族対応
80代女性老人入居後に「どこにいるかわからない」「おがない」とえる不安家族め、丁寧説明安心していたが、対応仕方不安じていた。

→進行により不安が軽減することもあり、また、不安は家族とつながる機会でもある。高齢期に特有の「喪失体験」による自然な反応として捉える視点が共有された。

薬物療法の調整と副作用とのバランス 

前頭側頭型認知症の家族事例では、向精神薬の使用により暴言などの不適切な行動が抑えられる一方、会話量の減少や眠気などの副作用があることを心配している。
→「ブレーキとアクセル」の比喩を用いて、薬の調整は常にバランスが必要であり、過鎮静と過興奮の中間を探りつつ、主治医・家族・施設が連携して見守ることも重要であることが示された。

幻視・幻覚への対応
・レビー小体型認知症などで見られる幻視は薬で完全に消すことが難しく、否定せず受け止め方を工夫することが大切とされた。
・暗がりや模様など視覚刺激を減らし、環境を明るく整える非薬物的介入が推奨された。
・ポジティブなものが見えるなどの、無害な幻視に対しては経過観察とし、生活に支障がある場合は医師と相談して薬物調整を行う方向性もあるようです。

長期介護への現実的な心構え
介護は短期間で終わるものではなく、長期戦になることを前提に「完璧を目指さない」「あえて手を抜く勇気を持つ」姿勢が大切とされた。理想的な対応を心がけて続けていると介護者が燃え尽きてしまう恐れがあり、たまには怒ったり、無理をしないなど現実的な運用が推奨された。また、家族や支援チームの中で「どこで休むか」「どう分担するか」といったルールや役割を共有することで、持続可能な介護につながっていけるのではないでしょうか。

精神分析家アドラーの課題の分離

アドラー心理学では、「自分の課題」と「相手の課題」を分けて考えることが大切だと言われています。介護でも同じで、任せられる部分は相手(公的機関だけでなく、認知症のご本人にも)できる限り委ねることが、より良い関係づくりにつながります。認知症の方は、向き合ってもらう時間が多いほど安心できます。そのためにも、まず介護者自身の心身の負担を軽くし、無理をしすぎないことがとても重要です。例えば、ご本人が不機嫌だったり、拒否的な態度をとったとしても、それを「本人の課題」と捉え、介護者が過度に引きずられないようにすることが一つの方法です。必要以上に心が揺さぶられないことで、落ち着いて関わり続けることができ、結果として円満な関係構築につながると考えられます。

認知症センター/認知症疾患医療センター