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<コラム> 第18回 抗てんかん薬とグレープフルーツ

抗てんかん薬とグレープフルーツ

「薬を飲んでいる人はグレープフルーツやみかんは食べてはいけないですか?」



ときどきこのような質問を受けます。
柑橘類のなかには、薬を無毒化する機能を阻害してしまう物質が含まれているものがあります。そのため、薬と相性が悪いと言われるのです。
特にグレープフルーツに含まれるフラノクマリンという物質は、世の中に出回っている多くの薬を無毒化する酵素(CYP3A4)のはたらきを阻害します。



フラノクマリンを1回摂取すると、無毒化を阻害する作用が4~5日程度継続すると言われています。
具体的には、相性の悪い薬とグレープフルーツを同時に摂取すると、薬が効きすぎるということが起こります。
グレープフルーツと相性の悪い代表的な抗てんかん薬はテグレトール(カルバマゼピン)、クロバザム(マイスタン)、エトサクシミド(ザロンチンシロップ、エピレオプチマル散)、リボトリール(ランドセン)があげられます。これらの薬を飲んでいる場合、注意が必要です。
※テグレトールの添付文書にはテグレトール内服中のグレープフルーツジュースは控えるように記載があります。 では柑橘類全般食べてはいけないかというと、そうではありません。例えば温州みかんやレモンはほとんど影響がないと言われています。
 

一方、影響が出るといわれている柑橘類には文旦、ダイダイ、晩白柚、夏みかん、ハッサクなどが挙げられます。 また、フラノクマリン類は果汁よりも果皮に多く含まれるため、マーマレードなどの加工食品にも注意が必要です。 このように一言で柑橘類と言ってもさまざまな食品があります。
判断に迷ったときは一度かかりつけの薬剤師にご相談ください。






 

<フラノクマリンと柑橘類>
フラノクマリンを含む柑橘類 フラノクマリンを含まない柑橘類
グレープフルーツ スィートオレンジ
スィーティー レモン
文旦(ポメロ・土佐・平戸) かぼす
メロゴールド 温州みかん
ダイダイ ネーブルオレンジ
晩白柚 ぽんかん
八朔 いよかん
甘夏みかん デコポン
  ゆず
  すだち
  きんかん

(斎田ら.医療薬学 .2006)
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